ナイスショットを連発し、最高の形でグリーンに近づいた。ここから寄せワンで、夢のパー、あるいはバーディーだ!
…そう意気込んだ次の瞬間、あなたのクラブは無情にもボールの手前の地面を叩き(ザックリ)、ボールは目の前にポトリ。
「もう一度!」と力んだ次のショットは、ボールの頭を叩き(トップ)、グリーンのはるか向こうへ消えていく…
こんにちは!元ゴルフ研修生のkenです。
今、あなたが苦虫を噛み潰したような顔で、深く頷いてくれたのなら、よく分かります。このグリーン周りでの「ザックリ」と「トップ」の無限ループは、ゴルフ初心者から100切りを目指すゴルファーまで、全ての人の心を容赦なく折ってくる、最大の悪夢です。
しかし、断言します。
アプローチは、ゴルフの技術の中で最も才能やパワーに左右されず、正しい基本と練習さえ積めば、誰もが必ず“武器”にできる分野です。
この記事では、私が研修生時代に徹底的に叩き込まれた、アプローチショットの「全て」を、その考え方から具体的な打ち方、そして最大の敵であるザックリ・トップを根絶するための練習法まで、余すところなくお伝えします。
もう、グリーン周りで怯えるのはやめましょう。この記事を読めば、あなたはアプローチへの苦手意識から完全に解放され、スコアを劇的に改善する「寄せの達人」へと生まれ変わるはずです。
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なぜアプローチは「スコアメイクの心臓部」なのか?
まず、なぜドライバーの飛距離よりも、この地味なアプローチがスコアメイクにおいて圧倒的に重要なのか。その動かぬ証拠を理解することから始めましょう。
数字が証明するアプローチの圧倒的な重要性
ゴルフのスコアの約7割は、100ヤード以内のショットとパッティングで作られます。
1ラウンド18ホールで、パーオン(規定打数でグリーンに乗ること)できる回数は、100切りを目指すレベルでは平均2〜3回程度でしょう。つまり、残りの15ホール以上で、あなたはこのアプローチショットを打つことになるのです。
ドライバーを打つのは最大でも14回。しかし、アプローチはその回数を遥かに凌駕します。このアプローチの一打一打の精度が、あなたのスコアを直接的に左右しているのです。
100切りできない人の共通点:「グリーン周りでの無駄な打数」
100が切れない人のスコアカードを分析すると、面白いほど共通点が見つかります。それは、「グリーン周りでの行ったり来たり」です。
ザックリで1打、トップで2打、またザックリで3打…たった20〜30ヤードの距離に3打も4打も費やしてしまう。この「無駄な打数」こそが、あなたのスコアを100の壁の向こう側へと押しやっている、最大の原因なのです。
「寄せワン」がゴルフを劇的に変える
「寄せワン」とは、グリーン周りからのアプローチを1打でカップに寄せ、次の1パットで沈めること。これができるようになると、ボギーのはずがパーに、ダブルボギーのはずがボギーに、というように、スコアを劇的に縮めることができます。
アプローチは、大叩きを防ぐ「守備」でありながら、スコアを縮める「最強の攻撃」でもある。まさに、スコアメイクの心臓部なのです。
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アプローチの「2大巨頭」- まずはこの2つの打ち方をマスターしよう
アプローチには様々な種類がありますが、初心者が最初に覚えるべきは、この2つの基本的な打ち方だけです。
基本①「ピッチ&ラン」- 転がして寄せる賢者の選択
ボールを低く打ち出し、グリーンに着地してから、パターのようにコロコロと転がしてピンに寄せるアプローチです。
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使う状況:グリーンエッジからピンまでの間に、バンカーなどの障害物がなく、平らなスペース(花道)が広がっている場合。
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使うクラブ:ピッチングウェッジ(PW)、アプローチウェッジ(AW)が基本。状況によっては9番や8番アイアンを使うこともあります。
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なぜ賢い?:空中にボールが浮いている時間が短いため、風の影響を受けにくく、距離感のミスが出にくい。最も安全で、最も寄せワンの確率が高い、アプローチの基本中の基本です。
基本②「ピッチショット」- ボールを上げて止める技術
ボールをフワリと高く上げ、グリーン上でスピンによって止めるアプローチです。
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使う状況:グリーン手前にバンカーや池がある場合、グリーン面が高い位置にある「砲台グリーン」など、ボールを転がせない障害物がある場合。
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使うクラブ:サンドウェッジ(SW)やアプローチウェッジ(AW)など、ロフト角の大きい(フェースが上を向いている)クラブを使います。
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注意点:ボールを高く上げる分、距離感や方向性を合わせるのが難しく、ミスヒットへの許容度も低くなります。初心者は、まずピッチ&ランを徹底的に練習し、ピッチショットは必要な場面でだけ使う、と考えるのが賢明です。
【完全マニュアル】全てのアプローチに通じる「魔法の打ち方」
ここからがこの記事の核心です。ピッチ&ランもピッチショットも、その土台となる体の使い方は全く同じ。この「基本の型」を体に刻み込みましょう。
STEP1:アドレス – 全てのミスを防ぐ「構え」の7つの鉄則
アプローチの成否は、構えの時点で9割決まります。
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スタンス幅は狭く:両足の間に、こぶし一つか二つ入る程度。肩幅よりずっと狭く構えます。
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少しオープンスタンスに:ターゲットラインに対して、左足を少しだけ後ろに引きます。これにより、フォローで体がスムーズに回転しやすくなります。
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ボール位置はスタンスの中央〜やや右足寄り:ボールを右に置くほど、弾道は低く(転がりやすく)なります。基本は真ん中と覚えましょう。
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グリップは短く握る:クラブを指2〜3本分短く持つことで、操作性が格段にアップし、ミート率が向上します。
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ハンドファーストに構える:グリップの位置が、ボールの真上ではなく、常に左足の付け根の前に来るように構えます。
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体重配分は左足に6〜7割:最初から体重の多くを左足にかけておく。これが、ダフリを防ぐ最大のポイントです。
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体とボールの距離は近く:パターのように、ボールの近くに立ちます。
STEP2:スイング – 手首を使わない「体の回転」が全て
アプローチで最もやってはいけないのが、腕や手首の力だけで打つ「手打ち」です。
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振り子のイメージ:両脇を軽く締め、肩と両腕で作られる「三角形」を、スイング中に絶対に崩さない意識を持ちます。
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ビジネスゾーンを制する:振り幅は、腰から腰までの小さな振り幅(ビジネスゾーン)が基本です。
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手首は固定:手首をこねたり、しゃくり上げたりする動きは一切不要。
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体の回転(ボディターン)で打つ:おへそや胸を、バックスイングでは右に、フォロースルーではターゲット方向に回す。この体の回転運動が、クラブを動かす唯一のエンジンです。腕は、その回転についてくるだけ。
STEP3:インパクト〜フォロー – リズムは常に一定に
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インパクトは通過点:ボールを叩きにいったり、インパクトでスイングを緩めたりするのは、ザックリ・トップの元凶です。
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振り幅が距離感を作る:距離の調整は、インパクトの強弱ではなく、テークバックの振り幅の大きさで行います。「ここまで上げたら〇ヤード」という自分だけの物差しを作りましょう。(詳細は後述)
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低く長いフォロー:特にピッチ&ランでは、クラブヘッドを地面スレスレに、低く、長くターゲット方向に出していくイメージを持つと、ボールは安定した低い弾道で飛び出します。
アプローチ最大の敵!「ザックリ」と「トップ」を根絶する処方箋
基本の打ち方を理解した上で、この二大ミスの原因と対策を徹底的に学びましょう。
なぜ「ザックリ(ダフリ)」は起きるのか?原因と撲滅ドリル
ザックリの最大の原因は、スイングの最下点がボールの手前に来てしまうことです。
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原因:①体重が右足に残っている、②すくい打ち(手首をしゃくり上げる)、③力みによるスイングリズムの乱れ。
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対策ドリル①:右足つま先立ちドリル
アドレスで右足のかかとを少し浮かせ、つま先立ちの状態でボールを打ちます。強制的に体重が左足に乗るため、左足一本で体を回転させる感覚が養えます。 -
対策ドリル②:左手一本での片手打ち
左手一本でクラブを持ち、小さな振り幅でボールを打ちます。すくい打ちをすると全くボールに当たらないため、正しいボディターンとハンドファーストの形が身につきます。
なぜ「トップ」は起きるのか?原因と撲滅ドリル
トップの最大の原因は、インパクトで体が伸び上がり、ボールとの距離が変わってしまうことです。
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原因:①前傾姿勢が保てていない、②ボールを上げようとする意識、③腕の力だけで打つ手打ち。
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対策ドリル①:頭にヘッドカバーを乗せて素振り
アドレスで頭の上にヘッドカバーやタオルを乗せ、それが落ちないように注意しながら素振りをします。体の上下動を抑え、前傾角度をキープする意識が高まります。 -
対策ドリル②:ボールを2つ並べて打つ
ターゲットライン上にボールを2つ、5cmほど離して並べます。そして、手前のボールだけでなく、奥のボールも一緒に打つ(押していく)イメージでスイングします。これにより、インパクトでスイングが終わらず、低く長いフォローが身につきます。
練習場でアプローチが劇的に上達する「魔法の練習法」
① 振り幅で距離を刻む「自分だけの物差し作り」
練習場で、自分のアプローチの「絶対的な距離感」を作り上げましょう。時計の文字盤をイメージします。
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7時-5時(足首から足首):AWで何ヤード飛ぶか?
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8時-4時(膝から膝):AWで何ヤード飛ぶか?
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9時-3時(腰から腰=ハーフショット):AWで何ヤード飛ぶか?
これを、SW、PWでも行い、スマホのメモなどに記録しておけば、それがコースでの最強の武器になります。
② 練習時間の「3割」をアプローチに投資する勇気
ドライバーを振り回したい気持ちをグッとこらえ、練習時間の3割を、この地道なアプローチ練習に充ててください。100切りへの最も確実で、最も早い道は、間違いなくここにあります。
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まとめ|アプローチを制する者が、100切りを制す
アプローチショットは、ゴルフというゲームの縮図です。そこには、派手な飛距離も、力強いスイングも必要ありません。
必要なのは、正しい基本に裏打ちされた、再現性の高い、地味な反復練習だけです。
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アプローチはスコアメイクの心臓部。まず「ピッチ&ラン」をマスターする。
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全ての基本は「アドレス」にあり。7つの鉄則を体に刻み込む。
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スイングは「手打ち」ではなく、「体の回転」で行う。
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ザックリ・トップの原因を理解し、正しいドリルで悪癖を根絶する。
今日お伝えしたことは、決して難しい高等技術ではありません。ゴルフにおける、ごく当たり前の「基本」です。しかし、この基本を徹底できるゴルファーは、驚くほど少ない。だからこそ、あなたがこの基本をマスターすれば、いとも簡単に周りのゴルファーをごぼう抜きにできるのです。
まずは次の練習で、アプローチのアドレス、7つの鉄則を一つ一つ確認することから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたのゴルフを根底から変える、大きな一歩になることをお約束します。
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