ティーショットが大きく右に曲がり、隣のホールの林の中へ…
「あー、今のOBかな?」「見つからなかったら、ロストボール?」
「どっちもペナルティだっけ?どこから打つの?何打罰…?」
ゴルフコースで、こんな風に頭が真っ白になった経験はありませんか?
こんにちは!元ゴルフ研修生のkenです。
ゴルフには数多くのルールがありますが、初心者が最も混乱し、そしてスコアを崩壊させる最大の原因となるのが、この「OB(アウトオブバウンズ)」と「ロストボール(紛失球)」です。
この二つのルールを正しく理解していないと、間違った処置をしてしまい、同伴者に迷惑をかけたり、過少申告でペナルティを受けたりと、踏んだり蹴ったりな結果に…。ゴルフの楽しさを感じる前に、心が折れてしまう初心者の方を、私はたくさん見てきました。
でも、もう安心してください。
この記事では、そんなあなたの悩みを完全に解決します。OBとロストボールの明確な違いから、正しい処置方法、そしてプレーをスムーズに進めるための最強の防御策「暫定球」まで、その全てをどこよりも分かりやすく徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたはもうOBを恐れることなく、冷静沈着にルールをこなし、周りから「あの人、初心者なのにしっかりしてるね」と一目置かれる、スマートなゴルファーへと成長しているはずです。
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なぜOBとロストボールはスコアを「崩壊」させるのか?
まず、なぜこの二つのミスが、ゴルフにおいてこれほど致命的なのか。その本質を理解することから始めましょう。
ゴルフにおける「ペナルティ」の本当の意味
ゴルフコースは、決められた区域(インバウンズ)の中でプレーを進めるゲームです。その区域からボールを出してしまったり(OB)、区域内にも関わらずボールを失ってしまったり(ロストボール)することは、ゲームの前提を覆すほどの大きなミスと見なされます。
そのため、ゴルフのルールでは、これらのミスに対して「ペナルティ(罰打)」が科せられます。これは罰ゲームではなく、「コースを正しくプレーできなかったことに対する、公平な調整措置」なのです。
たった1打のミスが「+2打」のペナルティになる恐怖
OBやロストボールのペナルティは、基本的に「1打罰」です。
「なーんだ、1打増えるだけか」と思ったあなた、これが大きな落とし穴です。
ゴルフのペナルティは、「1打罰を加えて、元の場所から打ち直す」のが基本。
例えば、ティーショット(1打目)がOBになった場合、
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OBになったショット(1打目)
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ペナルティ(1打罰)
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ティーグラウンドから打ち直すショット
となり、この打ち直しのショットが、なんと「3打目」としてカウントされるのです。つまり、ティーショットを1回ミスしただけで、実質的に「2打」を失ったのと同じことになります(OBの1打+ペナルティの1打)。これが、スコアを崩壊させるペナルティの恐ろしさの正体です。
【徹底比較】OBとロストボール、一体何がどう違うの?
それでは、この二つのルールの違いを、一つずつ丁寧に解き明かしていきましょう。
OB(アウトオブバウンズ)とは? – 「区域外」という明確な事実
OBとは「Out of Bounds(境界線の外)」の略で、プレーしてはいけない「区域外」を指します。
コース上では、白い杭(白杭)や白い線でその境界が示されています。
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判定基準:ボールが、完全に白杭のラインを越えて、区域外に静止した場合にOBとなります。ボールの一部でもラインに触れていればセーフです。杭と杭を結んだ内側がセーフゾーンとなります。
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ポイント:OBは、ボールが見つかっているかどうかは関係ありません。たとえ区域外でボールが綺麗に見つかっていたとしても、そこから打つことはできず、OBとして処置しなければなりません。
ロストボール(紛失球)とは? – 「見つからない」という時間切れの事実
ロストボールは、その名の通り「ボールを紛失した」状態を指します。
OBゾーンではない、林や深いラフの中など、プレー可能な区域(インバウンズ)に飛んでいったはずなのに、見つからない場合に適用されます。
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判定基準:ボールを探し始めてから「3分以内」に見つけられなかった場合に、ロストボールとなります(2019年のルール改正で5分から3分に短縮されました)。
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ポイント:ロストボールは、あくまで「インバウンズで見失った」という状況です。OBゾーンに飛んでいったことが明らかな場合は、たとえボールが見つからなくてもロストボールではなくOBとして扱います。
【超重要】ペナルティと処置は「ほぼ同じ」と覚えよう!
ここまで違いを説明してきましたが、初心者の方がまず覚えるべき最も重要なポイントはこれです。
OBとロストボールは、発生する状況は違えど、その後のペナルティと処置方法は、原則として全く同じです。
【基本の処置】
1打罰を加え、ボールを最後に打った場所(ストロークを行った元の場所)のできるだけ近くから、次のストロークを行う。(これを「ストロークと距離の救済」と呼びます)
この「ほぼ同じ」ということを知っておくだけで、頭の中はかなりスッキリするはずです。
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【完全マニュアル】OB・ロストボール発生!その時どうする?
では、実際にコースでOBやロストボールが発生した場合の、具体的な行動の流れを見ていきましょう。
シチュエーション①:ティーショットでOB・ロストボールの可能性
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ティーショット(1打目)を打ち、ボールが白杭の方向に飛んでいったり、深い林に入って見つからない可能性があったりする。
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【処置】 1打罰を加え、ティーグラウンド内のティーイングエリアから、もう一度打ち直す。
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この打ち直しのショットは、前述の通り「3打目」としてカウントされる。
シチュエーション②:セカンドショットでOB・ロストボールの可能性
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フェアウェイからのセカンドショット(2打目)を打ち、ボールがOBゾーンに入ってしまった。
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【処置】 1打罰を加え、セカンドショットを打った元の場所にボールをドロップし、そこから打ち直す。
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この打ち直しのショットは、
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セカンドショット(2打目)
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ペナルティ(1打罰)
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打ち直しのショット
となり、「4打目」としてカウントされる。
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プレーファストの生命線!最強の防御策「暫定球」をマスターせよ
OBやロストボールの処置で、最もやってはいけないのが「元の場所まで走って戻る」ことです。これは、プレーの進行を著しく遅らせる、最大級のスロープレーに繋がります。
この悲劇を防ぐための、ゴルフにおける最も重要で賢いルールが「暫定球(ざんていきゅう)」です。
「暫定球」とは何か?なぜ打つ必要があるのか?
暫定球とは、打ったボールがOBまたはロストボールになる“かもしれない”場合に、時間の節約のために「念のため、仮に」打っておくボールのことです。
もし暫定球を打たずにボールを探しに行き、3分経っても見つからなかった場合、あなたは泣く泣く元の場所まで戻って打ち直さなければなりません。この往復にかかる5分〜10分の時間は、後続組にとって地獄のような待ち時間となります。
暫定球を打っておけば、最初のボールが見つからなくても、その場から暫定球のプレーを続けることができるため、この無駄な時間を完全に無くすことができるのです。
【これが超重要!】正しい「暫定球」の宣言方法
暫定球を打つ際には、ただ打つだけではダメです。同伴者に、暫定球を打つことを明確に宣言する義務があります。
「OB(ロストボール)の可能性がありますので、暫定球を打ちます!」
この宣言をせずに打ったボールは、暫定球とは認められず、元のボールを放棄して、1打罰のもとにインプレーの球として扱われてしまうという厳しいルールがあります。必ず、ハッキリと声に出して宣言しましょう。
そしてもう一つ、暫定球を打つ際、ボールのブランドと番号を合わせて伝える事を推奨します。これは打った後で元のボールと識別するためです。暫定球を打つ際は、番号の違う球を使用するようにしましょう。
暫定球を打った後のシナリオ
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シナリオ①:最初の球がセーフ(インバウンズ)で見つかった場合
→ 暫定球は「なかったこと」になり、そのプレーは無効です。暫定球のボールを拾い上げ、最初に見つかったボールでプレーを続けます。 -
シナリオ②:最初の球がOBだった、または3分以内に見つからなかった(ロストボール)場合
→ 暫定球がインプレーの球となり、1打罰のもとに、その暫定球があった場所からプレーを続けます。
暫定球を打つことは、初心者の特権ではありません。プロや上級者ほど、少しでも怪しいと思ったらためらわずに暫定球を打ちます。暫定球を打つことは、恥ずかしいことではなく、むしろ周りに配慮できるスマートなゴルファーの証なのです。
【2019年新ルール】初心者を救う「ローカルルール」という選択肢
2019年のルール改正で、初心者のスロープレーを救済するための新しい選択肢(ローカルルール)が導入されました。これも知っておくと、非常に役立ちます。
「前進4打(プレーイング4)」とは?
これは、OBやロストボールになった際に、元の場所に戻らずに、ボールがなくなったであろう地点の近くから、2打罰でプレーを再開できるという救済措置です。
(※正式には「ストロークと距離の罰の救済に代わるローカルルール」という長い名前です)
例えば、ティーショット(1打目)がOBになった場合、
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ティーショット(1打目)
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ペナルティ(2打罰)
となり、フェアウェイの特設ティーなどから打つ次のショットが「4打目」となることから、「前進4打」と呼ばれます。※このペナルティ2打を勘違いしそうですが、これは2打罰というより、1打罰+本来打つべき(前進しているのだから)1打を足しての2打、ということになります。
このローカルルールの使い方と注意点
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メリット:元の場所に戻る必要がないため、大幅な時間短縮になります。
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注意点:あくまで「ローカルルール」なので、そのゴルフ場が採用していなければ使えません。また、公式な競技では通常、このルールは適用されません。仲間内でのプライベートなラウンドで、進行をスムーズにするために活用するのが良いでしょう。
まとめ:ルールを正しく知り、OBを恐れない賢者になろう
OBとロストボール。ゴルフ初心者にとって、これほど恐ろしく、そしてややこしいルールはないかもしれません。しかし、その本質と正しい対処法を理解すれば、何も怖いことはありません。
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違いを理解する:OBは「区域外」、ロストボールは「インバウンズで見失う」こと。
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共通点を覚える:どちらも原則として「1打罰で、元の場所から打ち直し」という処置は同じ。
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最強の防御策を打つ:少しでも怪しいと思ったら、迷わず「暫定球を打ちます!」と宣言する。
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救済措置を知る:プライベートラウンドなら、「前進4打」という選択肢も頭に入れておく。
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メンタルを保つ:ミスは誰にでも起こる。ルールを正しく適用し、冷静に次のプレーに集中することが、大叩きを防ぐ最大の鍵。
ルールを知ることは、あなたを縛り付けるためではありません。あなたを不要なペナルティや混乱から守り、プレーをスムーズにし、何よりゴルフというゲームを心の底から楽しむための「最強の武器」なのです。
もう、OBもロストボールも怖くない。自信を持って、コースでのプレーを楽しんでください!
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